保険金、損害賠償金請求のツボ教えます!

損害保険の保険金、交通事故における損害賠償金請求については、なにかと揉めるケースが多いものです。ある意味では正直者がバカを見ることもありますが、きちんと請求すべきものは請求するべきであり、いい加減に終わらせると損をすることになります。ここではそんな保険金請求、賠償金請求についての情報を提供しています。

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保険金、損害賠償金請求のツボ教えます!


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長年、損害保険事故調査という仕事に携わっていると、まさにさまざまなケースの案件に取り組むこととなります。そんな数多くの経験の中で、保険金あるいは損害賠償金について疑問を感じる部分もあり、また一方では書類作成のアドバイスや代行の中で想定外の保険金や賠償金、自賠責保険後遺障害認定を受けることもあります。

事故というものは、ある日突然に発生するものであり、またしょっちゅう遭うことはありませんね。
ある程度知識を持っている人はそれなりに対処出来るでしょうが、大概の人はなにがなんだかわからず、ほぼ保険会社の言いなりになってしまうものといえます。もちろん保険会社の提示条件に納得がいかず紛争処理センターや裁判に委ねるなどのケースもありますが、それは全体からすると数少ないといえるでしょう。

もっとも最近は自動車保険の「弁護士費用特約」が普及したことによって、弁護士に任せるケースが多くなりましたが、そうでない場合はご自身で保険会社と交渉することになりますので、知識面では圧倒的に不利ともいえます。
また、やみくもに保険会社に対向しても、かえって印象を悪くすることになりかねず、そうなるとますます収まる話が収まらなくなって長期化することもままあります。

ここでは、とりあえず第一回目として自動車事故における傷害(ケガ)による損害について、保険金、損害賠償金請求にあたって注意すべき点と、押さえておくべき点などを取り上げてみたいと思います。

ただ、一度にすべてを詳細に渡ってまで書くことは困難ですので、第一回目の今回は全体的な流れと大まかな説明として、次回以降それぞれに詳細な情報を提供していきたいと考えています。

圧倒的に多い車両同士の衝突事故によって怪我をした場合、その過失割合に応じて保険会社の対応が異なります。
被追突事故などで相手方が100%過失の場合はもちろん、相手方の過失割合が大きな場合は相手方保険会社が対応してくれますので、とりあえず問題ないとして、出合頭事故などで自分の側の過失が50%を超えると基本的に相手方保険会社は自賠責保険部分も合わせて立て替えて払ってくれるいわゆる自賠一括には対応してくれないことになります。

こんな時、ご自身が人身傷害保険(人身傷害補償保険)に加入されている場合は、ご自身の契約保険会社に事故報告を入れるとともに怪我の部分については人身傷害保険で対応してもらう方向になるでしょう。

(人身傷害保険ついては、拙ブログの「人身傷害保険について」や、「保険金が払える事故なのか払えないのか?人身傷害保険の微妙なところ・・・」などの記事もご参考にどうぞ。)

人身傷害保険の加入がない場合は、相手自動車の自賠責保険に被害者請求を起こす方向になります。 過失割合が70%を超える場合には重過失減額として、賠償金が20%程度減額されることになりますが補償を受けることが出来ます。

過失割合が70%未満であれば、治療費、休業損害、慰謝料など総額で自賠責保険の傷害の賠償額合計120万円まで補償を受けることが出来ます。

(自賠責保険被害者請求については、拙ブログ「自賠責保険被害者請求について」の記事もご参考にどうぞ。①から③まであります

また、事故とは関係なしに個人で契約されている傷害保険や共済、交通傷害保険、交通共済や、入院加療を伴った場合などは生命保険などに保険請求することを忘れてはいけません。
傷害保険などでは入院、実通院一日に対し通院保険金が支払われます。意外に忘れる方が多いので、要チェックいえますね。

さて、交通事故おける損害賠償金というと、後遺障害発生の場合は別として、通常の怪我の場合は治療費、休業損害、慰謝料、通院交通費などの合計となりますが、もっとも気になる部分は休業損害と慰謝料となるでしょう。

休業損害については改めて別記事として書くとして、ここでは慰謝料について簡単に説明しましょう。
自賠責保険では、通院一日に対し4,200円となっていますが、実際の運用では総治療日数と実治療日数×2のいずれか小さい方の数字に対し、日額4,200円を掛けるとしています。

わかりやすく説明すると、例えば総治療日数(治癒もしくは治療終了日まで)を30日として、その間に通院した日数が10日であれば、10×2=20と30を比べると20のほうが小さいので20×4,200=84,000円。

通院日数が20日の場合は20×2=40となりますので、40と30を比べると小さい数字は30ですから30×4,200=126,000円となるわけです。

もっとこれは自賠責保険の慰謝料額を提示していますので、実際は任意保険基準で計算されるともう少し大きな金額になるのがほとんどのケースと思われます。


今回のポイント!通院治療はしっかり!

ここで問題になるのが通院回数の妥当性となり、むやみに通院回数(通院日数)が多くなると、保険会社は治療打ち切りを切り出すこととなります。

通院回数は慰謝料計算に直接反映されるわけですから、保険会社としても神経質にならざるを得ません。 また、保険会社が通院の妥当性について問題にするのがこの点と言えます。

負傷部位、負傷程度によって、また被害者各個人個人の症状によって異なるわけですから、明確にどこかで打ち切りとする基準はなく、いわゆるむち打ち症とされる頚椎捻挫を代表とする神経症は、xp(レントゲン)やCT、MRIでもなかなか客観的所見(他覚所見)も見られないことから、医師も治癒を決定付けることが出来ず、最終的に治療終了を決めるのは患者本人となりますが、それではいつまでも漫然と通院治療が続くことに繋がることがほとんどで、実際には時期を見て保険会社から治療打ち切りを切り出して、もしくは診断書や医療照会から強制的に打ち切る形がほとんどと言えます。

実際のところ、賠償金(慰謝料)目的に通院実績を作るために通院するケースも多く、そのため保険会社も神経質にならざるを得ない部分があることはたしかですが、一方で、たとえば仕事の関係でどうしても休みが取れず通院出来ない。あるいは仕事が終わった時間には病院が開いていない。また、病院で治療を受けるといっても単にリハビリだけで効果が見られず、病院も混むので行きたくない。また、中には痛みはあるものの辛抱していたらそのうち治まるだろう。などとして通院をされない被害者が多いのも事実です。

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ところが、保険会社が慰謝料計算をするにあたって重要な要素は通院回数(通院実績)にあるため、痛みはあったが辛抱して通院しなかった。仕事が多忙なので通院時間が取れないなどの理由で通院回数が少ないと慰謝料としての計算に反映させることが出来ず、結果として慰謝料そのものが小さな金額になってしまい、「こんなに痛い目をして辛抱していたのにこんな程度の金額なのか!」と揉めることに繋がってしまいます。

自賠責保険にしろ保険会社にしろ、ごく一般的な社会通念として、「誰でも痛みがある状態なら、早く治したいために病院に行くのが当たり前で、痛みが治まってくると今度は逆に病院に行くのがおっくうになり通院回数も減るだろう」という点が基本にあります。

つまり、いろいろな事情で通院しなかったとしても、その事情を慰謝料計算の面で反映させることは困難、はっきり言うと出来ないことになります。

したがって現実として慰謝料計算のうえでどうしても通院回数(通院実績)が必要になることとなってしまいます。

また、前述のように常識的には「痛みがひどい時は通院回数も増える、症状が治まってくるにしたがって通院回数は減少する」という部分がありますので、被害者の個人差はあるものの症状がある程度治まるまでは通院回数が多くなるのは当然で、その後、完治するまできちんと医師の診察を受けながら通院治療を行なうことは単に慰謝料計算というだけでなく、本来の目的として早くケガを治す意味を持ちます。

治療についても、単にリハビリルームでのリハビリのみに通院するばかりではなく、週に1回程度は医師の診察を受け医師からの指示、指導を仰ぐことは大切です。診察を受けることなく、リハビリのみの通院状況であれば漫然治療と受け取られる可能性が高いといえます。

そして、医師にはきちんと痛みを感じる箇所、症状を伝えることも重要になります。骨折や他覚所見でも明らかに症状が判る場合は別にして、そうでない場合は医師も患者からの訴えがなされないとわからない部分が多く、結果的に治療が遅れることもままあります。

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※画像はイメージであり、本文とは関係ありません

また、一定期間を経過しても一向に症状が治まらないが医師も特になにも指示してくれないなどというケースもあります。
そんな時は、その病院に通院を続けるのではなく他の病院に転院することによって症状が改善されることもあります。いわゆるセカンドオピニオンですね。

相手方の保険会社が対応している場合は、その保険会社担当者に転院の旨を伝え新たな転院先病院の連絡先電話番号を伝えることによって、保険会社から病院にあらかじめ電話連絡を入れてもらうことで、ほとんど場合、治療費を直接保険会社に請求する対応が可能になっています。

つまり、治療について単なる漫然治療ではなく、きちんと通院加療をしていることの妥当性と、通院回数についても説得力を持たせることが大切ということですね。

保険会社担当者も、事情はわからなくもないがなんせ通院実績がないので慰謝料計算をするにしても根拠がないので困るというケースをよく聞きます。

保険会社はいたずらに保険金、賠償金を払うのがイヤだからというのではなく、実態に応じて正当な金額を出す必要があるわけですから、簡単に言ってしまうと説得力のあるデータが出れば算出しやすいことになります。

今回は、ざっくりと説明してみましたが、次回以降は休業損害や、柔整(整骨院、接骨院)での施術、その他関連する項目を詰めていきたいと思います。

(2017年1月21日)



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