現場はウソをつかない
「交通事故における過失割合について」のページにあるように、事故現場の確認は極めて重要なポイントになります。
私が保険会社の担当者によく言うことの一つは、現場をおさえなければ何も見えないという点で、当事者の話を聞くことは極端に言えば二次的なものとしても差し支えがないほどとしています。
現場を重視することと、双方車両の損傷部位確認をすることによって概ねの事故は物理的に解明することが出来るといって差し支えないと言って良いでしょう。
人間の記憶というのは曖昧で、まして衝突寸前や衝突時の様子を細かく覚えている人はほとんどいないと言って差し支えないでしょう。また、事故後には過失判定の利害もからむことによって虚偽の説明をされることも多くあるのが現実です。
しかし、事故現場は事故発生当時から大きく様子が変わることがない限りそのままの状況は残っており、現場状況を詳しく確認すればこの事故はこのように起こったと解析することは可能になります。
この点が「現場はウソをつかない」とする一番の理由です。笑ってしまうようなことですが、信号交差点での事故で当事者双方が青信号だったと主張することなどもあります。現実にはそんなことはありえないのですが、思い込みもしくはウソでそのような主張をすることはままあります。
あるいは相手側の信号が赤表示になり、自身の側の信号がただちに青になったので発進したなどと主張されることもあります。しかし、信号交差点において一方の信号表示が赤になった瞬間にもう一方の信号が青に変わることはありません。信号交差点では必ず全部の信号表示が赤になる時間が設けられています。
なぜなら、そのようなフライング発進と、黄色から赤になるあるいは赤になった瞬間に交差点内に進入する車両との事故を防ぐ意味でそのような設定になっているからです。全部が赤になる時間は交差点の規模によって異なり、大きな交差点であればその表示時間は長くなります。
信号による整理の行われていない交差点、丁字型交差点、あるいは単路上での事故、車線(進路)変更に伴う事故など事故はまさにさまざまな形態を持っていますが、すべて事故現場、事故発生場所があります。その現場状況をきちんとおさえることこそ事故解決へ向けての最も重要なポイントといえるでしょう。
警察による現場実況見分や現場検証は人身事故などの場合を除き、詳しく行われることはまずありません。それは警察としては人身事故のばあは業務上過失傷害、もしくは致死罪で検察庁に送致しなければならないからであり、単なる物件(物損)事故の場合は、事故がその現場で何月何日に発生したという証明を出すためだけに終わるからです。
事故における過失割合は損害賠償につながり、それは警察の民事不介入の原則にあたるため警察では過失割合について言及することはありません。
事故原因、事故状況を正確に特定もしくは推測するにはきちんとした現場確認が欠かせないというのが現実といえるでしょう。
※保険会社の担当者さん、Googleストリートビューという便利なものが出来たからと言って、ストリートビューの情報を頼りにするととんでもないことになりますよ。
ストリートビューでは、最新の現場状況を確認出来ない場合があります。撮影された時期が今、現在ではないからですね。
さらに信号関係でもめるケースとなると、我々調査人が現場交差点の信号表示サイクルを確認しないことには話が出来なくなります。
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