保険金不払い、未払いはなぜ起きたのか

当サイト立ち上げ時以降、少しずつ書いていたコラムのバックナンバーです。

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2004年12月「日本生命、個人保険の保有契約数で初の首位転落」の記事に思う


12月3日の新聞各紙の記事によると、

日本の大手生保「日本生命」が9月末現在の個人保険分野(個人保険と個人年金保険の合計)の保有契約件数で、外資系のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)に抜かれたとして話題になっているようです。

アフラックは、国内生保が参入を制限されていた、いわゆる第三分野で「がん保険」を独占的に販売し業績を伸ばした保険会社であるが、ようやくこんな状況になってきたかというのは素直な印象ですね。

もっとも日生にあっては、医療特約などの特約関係については、カウントに入れていないとのことですが、それでも日本の生保業界関係者にとってはやはり影響があるものと思います。

そもそも外資系生保にあっては、10数年前から金融ビッグバンに備えていろいろと対処していたのとは対照的にわが国の生保各社はバブル崩壊の後もどちらかというと比較的のんびり構えていたともいえるでしょう。

たしかに契約者側も実際のところ生命保険というのはその構造がわかりにくい上に、わが国においては特異な営業形態が長年続いていますので、これを改革するのは並大抵のことではないでしょう。

一部生保の破綻で大騒ぎになった後、やっと少しずつ契約者側の保険に対する考え方が変わってきたという部分が見えますね。

そこには、まっとうに保険営業に取り組まれるプロデューサーや、FP(ファイナンシャルプランナー)の人たちの努力もあったことと思います。
しかし、現実にはまだまだですね。

今後、何年も何十年もかかってこのマーケットは成熟していくものと期待したいところですが、そこにはやはり契約者の考え方を動かす保険営業サイドの啓蒙活動的なものが必要でしょう。

一方、契約者側は支払う保険料(掛け金)についてもっとシビアな感覚を持たないといけないでしょう。

ただ、医療保険関連については、確かに単独で契約される方の数は増加しているわけですから良い方向に向いているとも思います。

外資系保険会社にあっては、アリコジャパンをはじめアフラック、アメリカンホームといったところが猛烈にTVやラジオ、各種紙媒体で広告宣伝をかけているのが目立ちますが、それはそれだけ需要が見込めるということでしょう。

特にシニア世代に向けていろいろな医療保険関係の商品が次々と出され、いったいどれを選べば良いのか?という雰囲気すらありますね。

アリコは、日本の市場に合わせて上手く生存給付金を取り入れた商品を出していると思います。
日本人には根本的に掛け捨て保険は損!という先入観があるからでしょう。

今後もさまざまな商品が開発され、市場に出てくるものと思われますが、契約者の側にあっては自分の欲しい保障を明確にして商品を選択するという考え方が重要ですね。

生命保険の本体ともいうべき死亡保障を買うという部分においても、単体で生命保険を契約するケースが増えているようです。

つまり、必要性に応じてバラ買いをするということですね。何でもかんでもパッケージにしたものより柔軟性には富んでいるでしょう。

そこにはやはり契約者の保障に対する意思が必要です。また、売る側は契約者(被保険者)の必要とするものを聞き出して、それにマッチした商品を組み合わせるというスキルが必要ですね。

外資系保険会社が営業担当者のことをプロデューサーと称することが多いのは、そのことを指すものだと思います。

考えてみれば当たり前の話ですが、10数年を経てようやく、少しずつ保険営業の世界も変化してきたのだと感じます。

一方では損保も含めて各保険会社の内部では営業職、代理店への要求が強まり、整理や統合などが頻繁に行われるようになってきたと聞きます。

早い話が「楽をして儲かる時期は過ぎた」「しんどい」「厳しい」ということですが、これもまた当たり前のことですね。

それは、会社側も営業を担当する者に対し、それだけプロ化を求めているということでしょう。

保険という商品は、個人においても経済の面で極めて重要な分野の商品といえます。それがかつてはあまりにもいい加減だったということに他なりませんね。

現実には、日本の保険会社の営業にはまだまだ旧態然としたところが多いと思います。やがてはそれらが淘汰されるのでしょうが、まだまだ時間はかかるでしょう。

その進み方はあまりにも遅い!しかし、今回の記事を読んでようやくまともな方向に向かいつつあるのかな?という印象を受けたところです。


話はまったく変わってしまいますが、ここのところ過去に犯した保険金殺人事件が摘発されるという報道がいくつか続きました。

保険金目的殺人にしろ、保険金詐欺にしろ、その動機はかかるコストが低いということですね。手にする保険金に比べるとコストにあたる保険料(掛け金)は安いということでしょう。

これらの事件は水面下では相当数が発生しているものと推測されます。
そこには、やはり保険会社のアンダーライティング(引き受け)という面での問題と同時に警察の捜査の甘さという部分がある気がしてなりません。


(2004年12月3日)



 追記

※この項で書いている記事は10年以上前のものです。したがって現在の状況にはマッチしない部分もありますが、過去の記事の保管という意味から、原文のまま掲載しています。

2016年12月19日



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