過去コラム保管場所

当サイト立ち上げ時以降、少しずつ書いていたコラムのバックナンバーです。

スポンサーリンク


 素直に喜べない正月


気が付けばいつの間にか2003年の正月である。不況!一向に改善されない景気の悪さをつくづくと感じさせられる昨年の後半であった。関東ではATMの機械を重機で壊して持ち去るという荒っぽい手口の事件が頻発していたようだが、関西においては事務所や店舗から金庫ごと持ち去るという事件が続発した。特に休日明けのスーパーマーケットなどがよく狙われたようである。

それらは現金がねらいであるが、それ以外にブランド品であるとかカー用品であるとか様々な商品が盗難被害に遭う事件、また、個人住宅が空き巣に入られるという被害が異常に発生している。

これだけ件数が多くなると、警察でもいちいち捜査などやってられないという状況にもなるようである。もっとも殺人であるとか、傷害事件も多く発生しているだけにそれらの凶悪犯罪の捜査が先決などと言われるとどうしようもない。

「保険がかかっているのなら早く支払ってあげな」なんて言われても困るが、これじゃ保険会社もたまったもんではない(笑)調査を進めるうちに、どう考えてもこの事件は、内部の者、あるいは関係者が関与していなければ発生しないという案件が多くあったのだ。

にも関わらず、本気で捜査をしているのか?と思わせられる案件に何件も出合った。しかし、本当に盗難被害が多くなったものである。また一方では、わけのわからない賠償請求であるとか、ヤクザ関係者が関与するという案件も多く、これらの要因について景気の悪さという部分があることは否めない事実であろう。

富む者と、そうでない者との差は確実に多くなっているように思える。富む者という表現はあたらないかも知れないが、お金を持っている層であっても先行きに不安を感じていることから出費を抑えるということになる。

持たざる者は余分に使うどころの騒ぎではないので、なおさら大変である。結果として世間に金が回らなくなって、いつまでも景気回復にならないということなのであろうが、このような事態がいつまで続くのかと考えると不安を感じてしまう。

多少、保険の知識のある者であれば「動産総合保険」を活用?してやろうとか、保険約款をすみからすみまで読んで抜け道を考えてやろうなどということにもなろう。被害者の立場になれば、出来るだけ沢山の賠償金を取ろうなどという発想にもなりかねない。

一方、保険会社は保険会社で、少しでも不自然な状況であればなんでも調査を入れて、保険金支払いカットに備えるなどという担当者が現れてくる。結局は悪循環である。

わが国に経済を再生するのに重要な要素に構造改革があるとして登場した小泉内閣もすっかり色褪せてしまった状態であるが、構造改革がそう簡単に進むはずがない。

政治家そのものの問題も多いにあろうが、役人、経済界の多くがそれを望んでいないと思われる状況ではとても無理であろう。しかし、その根本的部分をなんとかしない限り前には進まないであろうから、船頭役は大変で、厳しい状況は今後も続くであろうと考えるのが順当と思う。

結局は一般庶民である国民、一般消費者である国民、中小企業経営者、零細企業、個人事業主などがしんどい思いをせざるを得なくなるということに変わりはない。

昨年末に貸し渋りのせいで倒産したとして信用金庫に立てこもった不動産業者のおっさんが居たが、このおっさんの言うことが事実か否かはともかくとして、中小企業経営者のみなさんが銀行に対して大きな不信感を持っているに違いない。

大企業については簡単に債務放棄として巨額の借金棒引きを行なっているわけであるから、文句も出て当然であろう。力関係から言って仕方がないという部分があるが弱者にとってはやるせないと思う。

保険金請求においても、保険会社が強者として保険金請求をした被保険者または契約者に対して明らかに無茶なことを言う場合がある。もっとも担当者としては、強者という意識はあまりないのであろうが、時としてわけのわからないことを言って保険金支払いに支障をきたすという場合がある。

正当な請求権者として、そんなことに負けていてはいけない。とはいえ契約者側には概ね知識もないわけであるから、そこで役に立つのが扱い代理店なりのプロであろう。

代理店と保険会社との関係においても力関係があることは歴然とした事実であるが、正当な請求事案であるなら代理店は契約者側について保険会社と交渉するのは当然であろうに、あまりにもなにもしない代理店が多いこともまた事実である。

保険の現場が少しずつ変わりつつあることは事実であるが、いわゆる正常化になるにはまだまだ時間を要すると思う。


(2003年1月1日)



 追記

※この項で書いている記事は10年以上前のものです。したがって現在の状況にはマッチしない部分もありますが、過去の記事の保管という意味から、原文のまま掲載しています。

2016年12月19日



スポンサーリンク


ページのトップへ戻る