生命保険はわからないというあなたに

よくわからない生命保険の仕組みを簡単に説明し、保険契約をする前に、あるいは契約見直しの際に参考になる情報を掲載しています。

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生命保険はわからないというあなたに


ある日、あなたのところに親しいお友達が「実は生命保険の仕事を始めてね…」と言って、突然訪ねてこられたら、どう思いますか?

あるいは皆さんが、生命保険の仕事を始めたとして、知り合いのところにご挨拶に行こうとした時に、どう感じるでしょう。

正直なところ、「ちょっと困ったな」と当惑気味になるのではないでしょうか。「保険かぁ…」という感じですね。どうも保険というものには、そういうイメージがつきまとっているようです。

また、何かが起こって保険金請求をしなければならない事態になった時、保険金請求をしてみて、「その件については、お支払いの対象になりません」と言われ、何故?こんなに長い期間保険をかけてきて、今までそんな説明は聞いた事がない。などとトラブルになった経験のある人もいるでしょう。

およそ保険金の支払いを受けるという事態でゴルファー保険のホールインワン保険を除いて嬉しい事は何一つありません。死や病気、ケガをした時のことを想定して、いろいろ考えるのは嫌だという部分はあると思います。しかし、そのような時に本当に役に立つのは保険以外に無いということも事実です。

つまり保険というものは、簡単に言ってしまうと、万が一そのような事態がわが身に起こった場合に被る経済的損失を補うために掛けるものといえます。もう少し平たく言えば“保障あるいは補償を買う”ということですね。

買うということですから、支払ったお金(保険料)は返ってきません。これが基本です。つまり掛け捨てということになります。

ところが、“掛け捨てでは何も起こらなかったらバカらしい”という発想もあり、それでは、“掛け捨てより余分に保険料を徴収して、その代わり期間が終了して何も起こらなかったら、利子をつけて返しましょう”というのが積立型保険という商品です。

保険の持つ本来の目的である、リスクに備えて保障を買うという認識を契約者があまり持たないまま、また販売する側の保険会社からもきちんとした説明がなされないまま貯蓄を兼ねた積立型商品が主流になってしまったところに、保険というものがよくわからないという原因があるように思えます。

保険商品、特に生命保険という商品はとても高額な商品です。そういってもピンと来ない人がずいぶんいるのではないでしょうか。しかし、考えて見てください。あなたは毎月、保険会社にいくらの保険料を支払っておられますか?

例えば月額15,000円の保険料を支払っているとして、保険期間が30年間としてみましょう。

15,000円×12カ月×30年=540万円

ですね。
つまり540万円もの買物をしているのと同じことです。

これだけの高額商品の買物をして、その商品のことをご存知の方はどの程度おられるでしょう?

かつて私が契約者の人に聞いて、自分が契約している保険の内容を満足に答えられた人は一人もいませんでした。大体こんなものとか、死亡時は5,000万円だったと思うとの回答しかありません。

しかし、その5,000万円にしても病気で死亡した時のものか、ケガで死亡した時のものかわかりません。また期の途中で10年後あるいは15年後には、保険料が大幅に上昇することも知らないという方が多いのです。

高価な電化製品を買おう、あるいは自動車を買おうと思った時、皆さんはきっと各商品をずいぶん比較検討されると思います。保険商品はそれらに匹敵、あるいはそれらよりもはるかに高額の商品といえます。それなのに、なんの検討もされることなく、義理ある人からの紹介とか付き合いで仕方なく、よくわからないまま契約するというのはおかしいと思いませんか?

私には理解できないことです。しかし現実として、それはあまりにも多すぎるケースなのです。

1999年は各マスコミなどで、生命保険の特集記事などが掲載されることが多くありました。また最近は契約者の皆さんが保険に対して関心を持つことが多くなったということは大変に良いことだと思っています。 皆さんも一度、保険証券を引っ張り出してきてご覧になることをお勧めします。





一つの実例

それではここで実例を挙げてみましょう。

この契約者は20代前半の独身女性です。保険料は60歳まで払い込むという終身保険が基本で、それに各種特約がついているものです。 死亡保険金額の合計は2,000万円でした。それに事故によって死亡した時には1,000万円余分に支払われるという特約、入院時に給付金が支払われる特約などがセットされています。合計保険料は総額で月額約15,000円です。

そのうち主契約となっている終身保険はわずか200万円で、1,600万円もの定期保険特約(早い話が掛け捨ての保険です)、それに3年ごとに10万円ずつ生存給付金が出るという特約が200万円、その他、入院関係特約などがセットされているというものです。 それぞれ15年自動更新となっており、15年後には保険料が高くなるという契約形態になっています。最初の15年間の保険料内訳としては、主契約の終身保険が毎月約1,700円、定期特約が約4,000円、生存給付金特約が約6,300円、残りが各種特約保険料ということです。

この事例で保険会社の営業担当者は、契約者に対して“3年ごとに10万円のボーナスがでる”という部分を強調していたということでした。それを旅行の資金にしたり、あるいは、積立てておいて結婚資金などに利用したらどうかというものです。

しかし、私はこの保険を販売した担当者の神経を疑うしかありませんでした 。この契約者は特に自分で商売をしているのではなく、20歳代前半ごく普通のOLであるこの若い独身女性にどうして2,000万円もの死亡保障が必要でしょうか?

しかも、そのための保険料の多くは掛け捨てなのです。この担当者が勧めたという3年ごとのボーナスというのも、よく考えてみれば特に有利というものではなく、ほとんど貯蓄と同じものです。それならわざわざ保険会社に預けなくても、銀行に積立てておいた方が、いつでも使える分だけ使い勝手が良いと判断出来ます 。

もちろんこの担当者が細かい説明を行っていなかったことは言うまでもありません。私に言わせてもらえば、契約者の無知につけこんで自分に都合のよい商品をおしつけたという以外のなにものでもありません。 そしてこの女性はなにもそのような保障を必要としていなかったのです。

知合いの人から紹介され、保険くらい入っておいてもいいかなという気持ちだったそうです。毎月15,000円という金額は小さなものではないけれど、平均的にみんなが支払っている保険料はこんなものだと言われ、3年ごとに10万円が返ってくるのだったら……と思って契約したということでした。


このような事は日常茶飯事に行われているのでしょう。皆さんはどう思われるでしょうか。私なら、この契約者が長期に渡っていくらかの死亡保障と将来にむけての資金作りをしたいと希望するのなら、60歳まで保険料の変わらない終身保険を500万円程度と医療関係の保険を付加して勧めるでしょう。

それでも保険料は月額1万円にも満たないでしょうし、残りの5,000円は他の金融機関に積立てでもしておいたらいいのです。利息の計算をしなくても年間6万円、3年間で18万円になります。しかもそれは必要な時、いつでも使えるのです。 死亡時の保障が必要無いということであれば、終身保険すら必要ありません。医療関係だけの保険などに加入すれば事足りるわけです。残りの予算は貯蓄に回せばよいでしょう。

ご自分の意志が弱くて、保険に支払っていたほうが結果的に貯金になるとお考えの方は、保険会社に預けるという方法を取ることについて、なんら問題があるとは思いません。それは、契約者自身が納得して加入するからです。

皆さんは物を購入される時、ほとんどの場合いろいろと検討して、納得してから購入するでしょう。保険商品も同じことです。内容の説明をきちんと聞いて、納得して加入した商品でトラブルが発生することは少ないと思います。現実には、そんな当たり前のことが行なわれていないから、いろいろ問題が生じることになっているといえます。

多くの責任は、保険会社の側にあるものと思っていますが、契約される皆さんも高額の保険料を支払うわけですから、加入時にもっと検討することが必要ではないかと思います。 では、保険商品を買う時にその基準となる保障額をどうやって決定すればいいのでしょうか?

私が常々説明していることは、自分にとっての必要保障額は自分の意志で決定する必要があるということです。 「そんなことは出来ない」と言う人は保障を買う必要性を感じていないということになります。それなら保険に加入する必要はありません。

自分の身に万が一何か起こったら困る。そうなった時に対処する方法を考える。ここからスタートするのです。

先に書きましたように、保険のお世話になるということは不幸な出来事が発生した時ということになります。ですから誰しもそんなことを考えるのは嫌ですね。しかし、そのような事態になった時に困るのは自分自身、あるいは自分の身の回りの人です。 また、その困る程度というのは人それぞれ、まったく異なるものだろうと思います。十人十色といわれるように、経済環境、生活状況、考え方が異なって当然だからです。

保険会社とすれば、契約者の皆さんにそのようなシミュレーションをさせることは面倒なので、予めいろいろな契約パターンを作成して販売しているのだということになります。

コンピューターを利用して、年齢、家族構成、収入などを入力したら、たちどころに企画書が出来あがるというのはおかしな話で、そこには契約者の考え方というものが反映されていないのではないでしょうか。保険商品の企画というものは、それぞれの契約者の考え方に合わせて作成されるべきものであって、契約者が本当に納得したうえで加入して初めて保険契約となるもの でしょう。それが本来の姿であると思います。

そして保険商品を販売する側は、契約者の考え方を踏まえた上で、各種の保険商品をコーディネートする立場にあると思います。 そのコーディネーターの人がきちんとした仕事をしようと思ったら、正確な情報を提供してもらえなければ出来ません。その情報というのが、皆さんの危険に対する考え方なのです。

ですから、漠然とした危機意識というものではなく、それぞれに具体的な数字が必要ということになります。

今、自分に万が一のことが起こったら、いくらの金額を残す必要があるのか、それは何年間必要なのか、入院することになったらどうするのか、収入の補償はどうするのかなどですね。それらを具体的な数字として算出する必要があるわけです。また、その数字も当然年月が経てば変化するでしょう。そういったことも考慮して金額を出していくことになります。

それらの作業をサポートして、その上で保険商品の組み合わせを行ない、契約者ごとの保険プランを作成する。これがプロの保険営業担当者だと思います。ここまでやってくれた人との間にトラブルが生じるなどということは考えられません。しかし、現実にそのようなプロの人は少ない状況にあるといえます。 そうであれば、なおのこと契約者の皆さんは契約に際して、保険会社の営業担当者に、自分の希望をはっきりと伝える必要があります。

保険に加入することを考えている人、あるいは現在の保険契約を見直そうと考えている人は一度、保障に対する自分の考えを整理したら、もっと保険が身近なものになると思います。



保険はわかりにくい商品である<<・>>生命保険の仕組みとは
※当ページの内容は2016年12月18日に一部加筆しています。




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