保険はややこし過ぎる?
現在私は保険事故専門の調査業務に携わっているが、以前は保険の営業に関わっていた。このため多少は保険についての知識を持ち合わせている。調査にあたってその知識が役立つかどうかは一概にいえないが、視点が若干異なるという部分はあろうかと思っている。
私が主に担当している案件は、いわゆる交通事故における事故原因調査をはじめ、車両盗難や各種盗難であるとか飲酒疑義であるとか、あるいはアフロス、整合性を問うといったモラルリスク(不当請求)に関わる保険請求である。
現実に不当請求となる案件は極めて少ないものである。しかし、たまにそういった事案があるので保険会社としては一応調査を入れるという形になっている。
たまにある不当請求事故については別に述べるとして、実際に調査にあたって感じることは契約者のみなさんの情報不足ということである。
それの主なものは保険代理店の説明不足であったり、あるいは保険商品そのものの知識を自分で得ようとされないという点にある。
例えば、車両保険の事故の場合、圧倒的に多いのが制限付きの車両保険に加入しているのも関わらず、そのことを知らずに支払いに該当しない事故を起こしてしまい、いざ請求という段になってなぜ?ということである。
多くの場合、保険については代理店に任せているからその内容について知らなかったというものであるが、それは保険契約者として保険料を支払っているという立場からすれば不用意と言わざるを得ない。
たしかに保険約款の内容にはさまざまな規定が設けられており、その全てを把握することは難しいものである。しかし、ポイントとなるところはきちんと押さえておかないとイザというときに何の役にも立たないということになりかねない。
自動車保険のみならず、最近は通信販売によって契約をされるというケースが多いようであるが、そのような場合は特に注意が必要である。
保険の加入動機は、万が一の事態が発生した時にその損害をカバーする目的といえよう。それなら契約者自身が感じるリスクをカバーできないと意味がなくなってしまう。
当サイトの他のページでも書いていることであるが、保険契約といえども消費者として商品を購入することになんら変わりはないので、お金を支払う以上その商品について検討をするのは当然であろう。
保険商品については、わかりにくい部分があるだけにどうしてもその点がおざなりなっている気がしてならない。
保険事故調査の現場においては、契約者のみなさんのプライバシーに立ち入らざるを得ないケースがままある。それは事故発生に至る経緯、あるいは保険契約にいたる経緯を調査する上で必要なものでありやむを得ないといえる。
不当請求の目的は保険契約上の免責事項から逃れて保険金を得ようとするものである。あきらかに保険金を詐取しようという目的であれば、これは詐欺である。
世の中カネ!ということであるが、保険金詐欺についてはある意味でコストパフォーマンスの高いものであることから今後もなくなることはないであろう。
不当請求については、罪の意識をもたれることが少ないことからやはりなくならないであろう。しかし、それらは善意の契約者に対して結果的に迷惑を及ぼすこととなる。
今回新たに設けたこのページでは、実際に扱った案件を素材にしてその背景、保険会社の対応、契約者側の問題点等々についてコメントしてみたいと思う。
追記
この項で書いている記事はずいぶん以前のものですので、現在とは状況が異なっている場合もあります。
しかし基本的にはなにも変わっていないともいえますので、そのまま掲載しています。
2016年12月19日
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