事故調査現場からの保険関連情報

保険事故調査の現場最前線から見た保険にまつわる記事を掲載しています。

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自動車盗難事故について


ここしばらく、本当に自動車盗難に関する事故調査依頼が多い。特に関西は全国的にも発生件数が多いことから保険会社も大変であろうと思われるが、異常とも思える発生件数であり、車両本体のみならず車上荒らし、あるいはパーツの盗難事故というのももちろん多い。

自動車本体の盗難については、そのほとんどがプロの仕業によるものと思われる被害であり、人気車種というのもおかしいが一番はトヨタ・ランドクルーザーであろう。

一時、被害発生が現象したかなと思われた時期があったが、昨年から再び急増している。プロの手にかかると正直なところ、どうしようもないというのが実情ともいえる。

彼らの手口は、概ねあらかじめ下見をしたうえで犯行に及んでいるものであり、セキュリティシステムが導入されているかなどのチェックを済ませた上で盗んでいく。

当然セキュリティシステムを先に解除してから作業にかかるわけであるが、その所要時間は極めて短時間の間に行われている。バータイプのハンドルロックや、防犯ブザーなど何の役にも立たないというのが実情である。

現在販売されているランクルで、トヨタ純正のセキュリティシステム搭載車はエンジン直結という方法が使えないため盗難そのものに遭う可能性は少ないものの、その代わり車上荒らしとボデーに大きな損傷を受けるという被害がある。

実際にボデーの損傷からシートを切り裂くといった荒っぽい被害に遭って、車両がボロボロにされるという被害もあった。

おそらく、なんらかのシンジケートのような組織があって、その中で役割分担をして行われているものと思われるものであり、そんな組織がいくつも存在するのであろう。たまに警察に摘発されることがあっても次々に組織は再生することからいたちごっこの様相を呈している。

その多くは海外のマーケットに送られるものというのは各種報道によってもご存知と思うが、ごく最近では国内マーケットで正式なルートで消化しようという動きもあるように思える。

最近出合ったケースでは、信じられないことに被害者の印鑑証明書を堂々と書き換えていったという事故である。これは運転免許証を偽造して市役所に行き、窓口で印鑑証明書を変更して持ち去ったというものである。

通常、車両保険の支払いについて保険会社は約1ヶ月間の猶予期間を持つ。それはその間に発見される可能性が高いという古くからの習慣と同時に、その間に調査を済ませようということからと思われる。

今回のケースは、猶予期間も過ぎ、いよいよ車両保険金の支払いを受けるため契約者が名義変更のために市役所に行って印鑑証明書を取ろうとして発覚したものであった。

保険会社は保険金を支払うと同時に所有権を保険会社に移転登録し、同時に抹消登録をすることになっている。保険金を支払った後に車両が発見されたら、保険会社はその車両を処分して保険金の回収にあたるわけである。

これはそのタイムラグを利用して合法的に車両を転売しようと考えた犯罪であるが、実際にその車両は四国かどこかのオークションに出されて発見されたそうである。

犯罪グループも様々な方法を考え、その手口も巧妙になっていることから車両盗難被害を防ぐということは難しい状況にあるともいえる。

車上荒らし、いたずらといった事故も数多くあるが、いたずらはともかく車上荒らしについては、とにかく車内に物を置かないことしか防ぐ方法はない。

まるで自動車を金庫かなにかのように思っておられるのではないか?と思われるような高額の被害がたまにあるが、車内およびトランク内には高価なものは置かないという習慣をつけるしか被害を少なくするという方法はない。

ゴルフバッグなどはついついトランクに収容したままなどということがあるが、中古ゴルフ用品専門店が数多く出来ていることから、中古ゴルフクラブをさばくルートなども確率されているようであり、そのためトランクを専門に狙う犯行グループなども存在している。

車載品をカバーする特約も販売されているが、保険金で全てがカバーされるわけではない。しかし、通常の車両保険では車載品の損害をカバーすることは出来ないので、常時車内に物品を置いておかざるを得ないというような方にとってはその特約が万が一の時に役に立つであろう。

コンビニなどに立ち寄った時に、ついついエンジンをかけたまま、あるいはエンジンキーを挿したままにしておいて車両盗難に遭うという被害もあるが、これなどは場合によっては所有者の管理責任を問われる可能性もあるため、車両を離れる時は必ずロックをして離れるということはいうまでもない。

本当はもっと長閑な社会であったらと願うのであるが、せち辛いというか、現実には不景気などがその犯罪を助長しているように思えてならない。


(2002年1月25日)



 追記

この項で書いている記事はずいぶん以前のものですので、現在とは状況が異なっている場合もあります。
しかし基本的にはなにも変わっていないともいえますので、そのまま掲載しています。

2016年12月19日



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