事故調査現場からの保険関連情報

保険事故調査の現場最前線から見た保険にまつわる記事を掲載しています。

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交通事故調査


保険事故調査という仕事の面白さというのは、一種の謎解きのような部分があることとも言えよう。交通事故の原因調査というのは、当事者双方の言い分が別れて折り合いがつかず、したがって示談も成立しない。それでは保険会社も困るので、実際はどうだったのかと調査依頼を出すわけだ。

交通事故の場合はよほどの入り組んだ事故でない限り、当事者双方の話を聞いて現場を見に行って、よく考えたら大体の状況は正確に把握できるものなのである。当事者がもめているのは、事故の後に道義的な部分で不満があって気分を害しているか、もしくは事故の過失割合によって自分の懐から出て行く損失を少なくしようとしているか、どっちかである。

主に後者のケースが圧倒的に多い。そのため事故状況の説明を聞いていても全然違うことを言う。そりゃ自分の側を優位に導こうとすればそうしないことにはダメなので、少々無理があっても頑張ろうということなのだろう。

もっとも事故などというものは一瞬にして起こるものなので、事故に至るまでを正確に記憶していることなど出来はしない。曖昧になって当然である。自動車にビデオカメラでも付いていて、後でそれを再現したら一目瞭然ということにでもなれば簡単なのだろうが、現時点では残念ながらそうはいかない。

交差点における出合頭事故で、一方は信号が黄色になったので早く交差点を抜けようと加速して交差点に入った。一方は信号が青になったから交差点に入ったのに衝突した。

よくあるケースだが、双方ガンとしてゆずらない。実際に当事者の言う通りなら事故など起こり得ないのである。どちらかが赤信号で交差点に入ったから衝突したのである。極端な場合、双方が青信号であったと主張する。どちらかが満足な形で保険に加入していないとなると、ますますモメる。

しかし、信号機の故障でもない限り、そんなことは起こり得ないのであるから、こんなのは物理的に状況を辿ればどういう事故だったのか判明する。

やっかいなのは単独で自損事故に場合。飲酒運転を隠して、保険金を請求する。あるいは本当に飲酒運転ではなく、悪意はなかったものの警察に届出しないで保険請求したが、事故発生が深夜であって、事故前の行動が不自然というやつである。

こんなのはどちらにしろ、それなりの結論を出さないといけないわけだが、えらく難儀する。契約者も大変だろうが調査員も大変である。

読者の皆さんの中で、本当に飲酒してなくて、たまたま深夜に単独で事故ったという場合、面倒でも邪魔くさくても直ぐに警察に届出ておかれることをお勧めします。その時にやっかいと思われても、あとでやっかいな思いをするよりはずっと良いと思います。

もっともこの話は車両保険に加入されておられない方には関係ありません。

毎日、いろんな種類の事故が発生し、いろんな調査依頼が来て、我々もいろんな経験をさせてもらえます。この仕事は仕事の内容に興味を持てなかったらやってられないとつくづく思います。



 追記

この項で書いている記事はずいぶん以前のものですので、現在とは状況が異なっている場合もあります。
しかし基本的にはなにも変わっていないともいえますので、そのまま掲載しています。

2016年12月19日



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