事故調査現場からの保険関連情報

保険事故調査の現場最前線から見た保険にまつわる記事を掲載しています。

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最近の調査事情


相変わらず、飲酒、アフロス(注:アフターロスの略、事故後に保険契約をして保険金請求をするというもの)整合性(例えば2事故であったものを1事故として請求するもの等)といったややこしい案件が多い。

最近ちょっと以前と事情が変わったかな?と思わせられることは、以前に比べると調査依頼内容が細かくなってきたことである。以前ならこの事故について、総合的に対象者、事故現場、警察、裏付け全般での調査指示があったものが、例えばとりあえず警察だけとか、被調査人だけとかというように個別の指示が多くなってきたのである。

1点だけの調査が終了したら、速報という形で報告して、その結果から次の指示が出るということが多くなってきた。場合によってはその時点で打ちきりというケースもある。

我々の場合、調査個所が多ければそれだけ手間がかかるので収入も多くなるわけだが、1個所で終了などと言われると正直なところ収入面で困ってしまう(笑)

クライアントとしては、調査費用など安くすむにこしたことはないので、なるべく安くあげようということかも知れない。こんなところにも経費節減の影響が出てきたのかな、と思わせられる。

しかし、一方で「なんでこんな案件の調査を入れるのだろう?」と思えるようなものもある。たしかに判り切っているものをわざわざ調査会社を入れて報告書としての体裁を繕うものもある。それは契約者なり当事者を説得する材料として使用する目的なので意味がないわけではない。

ところが、中には電話確認でもおおよその概要は掴め、事故報告書等からでも状況も確認出来るものであるのに、わざわざ依頼してくるケースがある。

中にはそのような調査は簡単で、1件としての収入になるのでラッキーと思って引き受ける調査員もあるかも知れないが、正直言ってそのような案件は面白味もなにも無い。

それこそ、こんな案件に調査料を払うのだったら他の案件にもっと調査費用を使えよ、と言いたくなってしまう。

世の中、価格破壊だのコストダウンだのということで、無駄なものは省こう、価格は安くという方向に進んでいる。価格が安くなるということは喜ばしいことであるが、こと我々の調査料金というものについては、なんでもかんでも安けりゃ良い、というものでは無いと思う。

なぜなら、調査にかかる手間は大変なものがあるからである。実際のところ、調査そのものに費やす時間と手間、それをまとめてレポートにする手間と時間を考えると我々の収入は決して高いものではない。

たまに時間給になおすといくらになる、なんて話をすることがあるがアホらしくてやってられない、という実情である。それでも続けるというのは、仕事そのものに面白味があるからこそなのだが、あまりにひどくなってしまうと調査内容そのものに影響が出るという可能性もある。

このあたりのかねあいというものは難しいところである。

先に書いたように、相変わらずモラルリスク(不当請求)事案が多いのであるが、そのような案件を立証するというのは本当に困難なものである。周辺状況から判断する限り、クロに近いのは判っていても確証が得られないため悔しい思いをすることもある。というよりむしろその方が多いかも知れない。

我々のような民間の機関は警察のように捜査権があるわけではないので、調査業務はなおのこと大変である。しかし、人間を相手にして保険会社と契約者の間に立って中立の立場でする仕事というものは面白味がある。
こんなぼやきのようなことを書きながらも、新規の案件がFAXで流れてくると内容をチェックしてアポイントの電話をかけることになる。



 追記

この項で書いている記事はずいぶん以前のものですので、現在とは状況が異なっている場合もあります。
しかし基本的にはなにも変わっていないともいえますので、そのまま掲載しています。

2016年12月19日



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