年金改革法案国会を哂う
当サイトにおきましては、主に生命保険の見直しについてのコンテンツを用意し、加えて損害保険、あるいは関連した各種情報を提供するという形で運営し、一応のコンテンツは完成したことから、次は年金問題に焦点をあてるしかないという状況で、しばらく休止していました。
これは、まだまだ年金問題については政府、政治レベルの問題で今後相当な変更が予想されることから、当面様子見しかないという状況にあったからです。
ところが先日の年金改革法案成立への過程を見ていて、あまりにアホらしく、こんなことでまだ国民を騙そうという政府の姿勢から、これは書かなくては…ということになってしまったというところです。
閣僚や国会議員の年金未納などに問題をすり替え、肝心の根本的改革という部分に一向にふみ切ることが出来ない、それは次の選挙を見越してのことであり、それらはおそらく今後も続くことでしょう。
そして、気が付けば国民の多くは満足な年金を受け取ることが出来ず、そこではじめて問題提起が起こる。しかしそれは遅すぎるという印象を受けます。議員や役人は一般より多くの年金を受け取るという既得権を享受出来ることから、満足に検討をしないということもあるでしょう。
ここ何年と年金についての書籍が多く発売され、一体いくら受け取ることが出来るのか?などというシミュレーションなどもさかんに行われていますが、私の考えでは現時点で予測することは不可能と思います。
早い話がなんにもわからないということです。間違いなく言えることは年金原資は確実に満足な年金を支払うだけの余裕がなく、すでに破綻しているということでしょう。
政府は、現在の年金制度がまともに機能しなくなることなど、とっくの昔にわかっているはずで、それを先延ばし先延ばししながら、民間金融業界に年金商品の販売を進め、国民への自助努力をうながしてきたのです。
十数年前から、急に年金商品が増加し、さかんにコマーシャルがおこなわれるということになった背景にはすでにそのような事情が存在していたということですね。
そもそも現在の年金制度は戦後の混乱期を過ぎた後に、安心した老後を過ごせるために年金制度を設けなければならないというところから始まったものでしょう。
当時は、戦後のベビーブームもあり、経済成長もこれからという時期なので、若い世代から潤沢な年金保険料の徴収が可能ということから、現在のような制度として発足したものでしょう。
しかし、若い世代が老人世代の年金保険料を負担するというきちんとした説明はなされていなかったものと思われます。
多くの国民は、自分自身が積み立てた保険料を老後になって受け取ることが出来る、その保証を政府がしてくれるものという感覚であったものと推測されます。
ところがその後、少子化が進行し、とてもそのような制度が維持出来ないというのは、すでに十数年以上前からわかっていたはずです。
さらに輪をかけるように経済の破綻などがあったわけですが、そこで政府は抜本的な改革をすることなく、放置したわけです。
あえて言うなら、民間の金融機関に対して年金商品を促進するよう行政指導をしただけでしょう。
そこには政権維持という目的があったものでしょうが、結局迷惑を蒙るのは一般国民であって、先に述べたように議員には特別な年金が用意され、役人も優遇制度がとられています。
そんなことで、彼らがまとも論議するか疑問ですね。本来なら彼らはそういったことをするのが仕事であり、役目です。選挙で通ってきているわけでうからね。
しかし現実はどうかというと…、先の年金改革法案の推移を見ると誰でもがわかりますね。
今後、年金保険料の不払いはますます増加することでしょう。なぜなら若い世代の人にあっては、自分が支払った年金保険料を回収出来るかどうかもわからないということであれば、若いうちから自分自身で年金資金を準備しようという動きになるのは当然であるからです。
国民の義務として、それを強制するなら納得出来る制度に変更しなければなりません。
それには遠大な時間を要するでしょうし、また、すでに年金を受ける世代にとっても大きな問題になってきます。
おそらく今後年金原資を確保するには消費税の増税というところに焦点があたると思われますが、そこにはきちんとした説明がなされなければならないことは言うまでもありませんね。
だからと言って、今後どうなっていくのかまったく先が読めないという状況に違いありません。政府はなんとかしなけらばならなくなるだろうなどと、のんきなことを言っていると大変な目に遭うかも知れません。
まさに自助努力で、老後の資金はある程度自分で作るという感覚は非常に大切なものと思います。
昭和30年代から始まった高度成長時代を経て、モノ、カネという物質の豊かさばかりを求めて、進んで来た結果、様々なところでそのツケが回ってきたと感じておられる方も多いと思います。
自分の子供達も満足に育てることが出来ない、自立することをさせない親、結果としてそれらは国家の運営にも大きな影を投げかけるものと思います。
年金問題は極めて大きな問題であることに違いありませんが、単にそれだけでなく一般国民として政治という場面を見ていく必要があることは言うまでもないでしょう。
過去における生命保険会社のずさんな営業姿勢も、政治とからんでいる部分が多くあったものと思われます。
年金、生命保険というものは、自分の老後の生活を支える需要なジャンルです。国が満足な制度を提供出来ないのであれば、自助努力しかありません。
その部分が大きな問題であることに違いないのですから、大いに考える必要があるということですね。
(2004年6月13日)
追記
※この項で書いている記事は10年以上前のものです。したがって現在の状況にはマッチしない部分もありますが、過去の記事の保管という意味から、原文のまま掲載しています。
2016年12月19日
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