過去コラム保管場所

当サイト立ち上げ時以降、少しずつ書いていたコラムのバックナンバーです。

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 代理店のつぶやきに思うこと


先日、久し振りに現役で活躍されている代理店さんに会いました。彼は、代理店のキャリアが20年を超えるというベテラン代理店さんですが、その彼の口から出てくる言葉は「最近は保険会社もうるさくなってなあ…」「手数料率もどんどん悪くなるし、手間がかかるばかりでええことは無いわ」「継続落ち(継続契約が取れないこと)も増えたし、収入は減少するばっかりや」と、こんなことばかりでした。

さらに、「ぼちぼち本気で生保にも取り組まなあかんけど、生保もなかなか上手いこといかへんわ」とこんな調子です。しかし、彼の年間収入保険料(契約者から領収する保険料)は8,000万~1億円程度で、一般の損保代理店の規模としては大きな代理店の部類に入るといえますが、もっともそのうち積立保険の保険料がそこそこにあると思われますので、いわゆる掛け捨て型の保険料は5,000万円程度と思います。

その中で大半を占めるのが自動車保険ということですから、典型的な一般的損保代理店像ともいえるでしょう。「自動車保険もなあ、最近は通販などで安い保険料の外資系が多いから大変や!」「おまけに事故は多いし…」というようなことから自動車保険については相当に苦戦をしているようです。

かつて、損保代理店はこぞって自動車保険の獲得を目指して営業をするというのが一般的パターンでした。それは自動車保険が保険料も高く、簡単に売上(代理店にとっては収入保険料が売上になる)が上がるし、無事故割引のある自動車保険は代理店手数料の率も高かったからですね。

損保商品については、積み立て型を除いて基本的に1年毎の更新になりますし、多くの契約者さんは一度契約をされると、よほどのことがない限り、そのほとんどが継続されるという傾向から、何年か営業をしてそれなりに保険料を稼ぐようになれば楽というのが損保代理店の姿だったのです。

10数年前に金融ビッグバン(金融機関の規制緩和)が取り沙汰された時も、世間はまだ好景気の真っ盛りであるうえ、日本の保険会社はのんびり構えていたと思います。すくなくとも現場最前線ではそのような危機感を感じる営業社員の数は少なかったと思われます。そんな状況ですから一般の代理店さんは、少しずつ保険会社が細かいことを言うようになったなあ…という程度の認識しか持ち合わせておられなかったのでしょう。

その後、簡単にいうとバブル崩壊後の経済状況悪化によって保険会社も否応なしにコスト削減、効率化の強化を強いられることになり、結果として代理店さんにもおおきなしわ寄せが来たということですね。

ここにきて初めて保険会社も慌てる、代理店ものんびりしておれないという状況になってきたということですね。逆にいうとそれだけのんびりした業界であったともいえるわけで、今後ますます競争にさらされるということでしょう。

ただ、保険という商品は特殊な商品であるゆえに、やはり専門的知識を持った人でないときちんと扱えない部分があります。先の金融ビッグバンで、保険会社以外の金融機関も保険商品を販売出来るということになりましたが、実際には相当に勉強をした人でないと、とても無理という実情です。

同じ保険業界でも、多くの損保の人に生保がよくわからないように、多くの生保の人には損保がよくわからないというのが実態です。本来、保険を扱う人は両方の分野に知識があり、契約者のニーズに合わせてそれらを組み合わせるということが最適のパターンと考えています。

当サイトには、今度新たに保険会社の研修生として入社したという方とか、代理店を始めて日が浅いという方とか、あるいは大学生というような方からなどもメールを頂きますが、むしろビギナーの方にはそれなりの勉強をされることによって対処出来る可能性があります。すでに多く存在されるプロ代理店の方や、ブローカー、保険分野に強いファイナンシャルプランナーの方がますます活躍される時代がもう来ているということですね。

従来のタイプで営業されておられる代理店さんには厳しい状況が続くと思われますが、契約者のみなさんの考え方は確実に変化してきています。業界の構造改革というのは、もっぱら収益確保やコスト削減、会社の力関係での統廃合に終始しているように思えますが、基本的な保険そのものに対する意識改革がなければ、契約者の変化に対応出来なくなる可能性も秘めていると思います。


(2003年4月20日)



 追記

※この項で書いている記事は10年以上前のものです。したがって現在の状況にはマッチしない部分もありますが、過去の記事の保管という意味から、原文のまま掲載しています。

2016年12月19日



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